設計教室2025 建築視察ツアー第1回 報告
2025.10.12 カテゴリ:視察ツアー, 設計セミナー, 設計教室 タグ:
2025年 建築視察ツアー第1回を開催。
9月17日に建築視察ツアー第1回を開催しました。ゲスト講師の実作を巡る建築視察ツアー第1回は箕輪裕一郎さん編です。愛知県春日井市に事務所を構える箕輪さんのお仕事を見せていただくべく、バスツアーを企画。愛知県、岐阜県を巡り、「川島の家」 「大泉寺の家」 「外之原の家」の三作品を見学させていただきました。いずれも既に住まわれているお住まいです。
また、箕輪さんや河合さん、西村さんそれぞれと、住まい手さんの関係性が非常に良好で、それぞれのお住まいでこの先も住まい手さんが楽しく過ごせることが想起でき、それも参加者の皆様の記憶に残った回でした。ご協力をいただいた全ての皆様に、心より感謝申し上げます。
<川島の家>
大きな川に囲まれた地域にあるお住まい。災害に備えて基礎を高くしているのですが、造園や佇まいでそれを感じさせないようになっており、外観を捉えた瞬間、参加者から「かわいい!」と声が漏れたのが印象的。1Fがメインのつくりで、一目で使い勝手の良さが伝わるすっきりとしたキッチン廻りを中心に、お庭が近くに感じる一段下がったリビングや開口を絞った先にある和室など、変化が楽しい室内でした。住まい手さんが伊礼さんのファンでいらっしゃって、伊礼さんをイメージした絵画を飾ってくださる嬉しいお出迎えも。
<大泉寺の家>
箕輪さんの第一号作品であり、ご自宅であり、モデルハウス・事務所の役割も果たしています。また二世帯住宅でもあり、多くの要素を整理して、それぞれの距離感を絶妙に保ちながらまとめた空間づくりが見どころのひとつ。近くに桜並木のある小学校があり、町からお庭を通りアプローチが土間に続き、室内からもお庭や町の緑を身近に感じる開口部のデザインが、どの季節に来ても心地よく感じます。作庭は、荻野寿也さん。高さと距離のレイヤーが美しく、起伏や変化のあるお庭で、緩やかに町と繋がりながら境界をもたせた空間が心地よい。通りと敷地の境界にある石のベンチは、子供たちの溜まり場にもなっているようです。大泉寺の家は、2年前にも住宅デザイン学校のイベントでお邪魔したのですが、味わいがさらに増した様子に、当時の見学者から「より深く感じることでき、新しい発見があった」と喜びの声が聞かれました。






箕輪さんのデスクには、さりげなく伊礼さんの新書が置かれていました。
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<外之原の家>
アンティーク好きな若いご夫婦のミニマルな平屋のお住まい。新興住宅地を遠くに望みながら、この町の原風景をとどめた里山にひっそりと馴染み佇む平屋の小さな家で、その繋がりを大切にしたかったと箕輪さんは言います。セルフビルドを楽しむご夫婦で、価値を置くべきところと、割り切るところが明快にあり、それが気持ちの良い魅力的な空間を作り上げていたように思います。一番最後に訪れたので、刻は夕暮れ。夕焼けに赤く照らされ、土間に差し込む西日が美しく、「この時間に見学してほしかった」と箕輪さん。内から外へ繋がるメイン空間の開口部や土間の作り方は箕輪さんらしいところでもあり、皆さん座して、暮れ行く夕日を眺めながら、穏やかな心地よさを味わっておられました。






GLが通りより低いうえ、高さを抑えた平屋のため、主張が少なく景色に馴染む佇まい。細い木板張りの外壁と波トタン葺きの屋根が味わい深く、里山らしさをいっそう感じさせる。
楽しいバス旅となりました。
ご協力いただきました関係者の方々、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。





