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Vol. 62

設計教室2021 第1回 報告

2021.05.29 カテゴリ: タグ:

2021年第1回をオンラインで開催。

5月12日・13日に、第1回目を開催いたしました。コロナ禍の今年度は、オンラインでの実施となり、伊礼智設計室からライブ配信での実施です。

1日目のゲスト講師として、小泉誠さん
2日目のゲスト講師・審査員として飯塚豊さん

にお越しいただきました。

小泉誠氏/Koizumi Studio:http://www.koizumi-studio.jp/
飯塚豊氏/i+i設計事務所:http://iplusi.info 
 

1日目の講義では伊礼さんが「心地よさのものさし7つ」を踏まえた上で、5つの作例(里山住宅博@つくば/町とつながるエコハウス@甲府/福島の家@福島/高島の家@近江高島/魚沼の家@新潟)について、プランニングの手順や設計ポイント、様々なエピソードや考察をお話されました。

<心地よさのものさし>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その1.開口部の方向を押さえる その2.自分なりの型・建築の様式を見つける
その3.街と家の間を考える その4.閉じてよし、開いてよし(の温熱性能)
その5.開口部と家具と照明はセットで考える その6.住宅であり、建築でもある(心躍る空間を意識)
その7.眼を養い、手を練り、 耳を澄ませ、喉を潤し、よく笑い、即実践する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

里山の住宅地に建つ家、5台分の駐車スペースのある家、寺町にある家、雑木林を形成する家、豪雪地帯の家といった、それぞれ異なる特徴のある住宅でしたが、それら全てにおいて「心地よさのものさし」を実践。一番良い場所を見つけ、そこから見えるものを意識した開口部まわりのデザイン、デッキの配置や奥行のある植栽、ヒンプンなどで緩やかに外への繋がりをつくる、光の変化を愉しみ、時間の流れを感じ取れる仕掛け、明るい居場所と暗い居場所と気分で過ごし方が変えられる設えなど、建物に求められる様々な性能を確保しつつも、暮らしが楽しく、心地よくなる仕組みを意識し追求する手腕がよくわかる講義でした。また、お庭を街へお裾分けする、街の景色に溶け込みながらも個性を生む外観、室外機など街から見える屋外設備にも気を配るなど、住まい手だけでなく、街への配慮についても考えさせられました。

小泉さんは、アトリエからのオンライン講義となり、「日本の家具デザイン」というテーマで、‟建築と家具の境界線とは何か。”という問題提起を基に、前半は「西浦の家」の住宅作例をじっくりご紹介いただき、後半に「道具の変遷」の歴史を紐解き、その変遷で失われたものを取り戻すプロジェクトとして“環境づくり”から指揮をとられた、大雪木工@旭川「大雪の大切プロジェクト」をお話しいただきました。

名詞で考えるのではなく動詞でデザインする。境界線を決めず、使い方や過ごし方に応じた多義的な空間をつくる。役割を与えれば居場所となる。完成形ではなく、つくる過程やそこに込めた想いを伝える。など、モノづくりに携わる者としての向き合い方に襟を正されるような内容であり、また伊礼さんのお話とも通じる部分が多々あり、興味深い講義となりました。

小泉さんが講義中に、視聴者全員に尋ねた「みなさんは誰を意識してデザインをされていますか?」という問いに対しては、1.社会のために設計している 2.消費者(ユーザー) 3.自分 4.製造者(メーカー)の選択肢の中かから、伊礼さんは1~4を全部意識するべき、小泉さんは日頃ユーザーと触れ合いながらものづくりをする機会が少ないことから4、視聴者の皆さんは1~3や、2~3の組み合わせを答える方が多く、その後のオンライン懇親会でも大いに盛り上がる話題となりました。

      
「一本の線に責任を持つ」という吉村順三氏の言葉から、「一本一本の線に理由があり、その理由とを見つけることが我々の仕事。仕事だけれども楽しいしやりがいになっている」と語る小泉さん。

2日目は上級編の即日設計です。今回は神奈川県にある敷地を課題とし、3時間で設計しました。
海外の家のような広々とした家、サウナとnookのあるお庭と一体感のある家を希望されており、敷地環境とご要望を踏まえた最適解を短時間で導き出すのに、皆様苦心されているようでした。

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ゲスト審査員の飯塚 豊さんには伊礼智設計室にお越しいただき、一緒に参加者からのプレゼンテーションについて考察を行い、ひとりひとりに伊礼さん飯塚さんからコメントが寄せられました。飯塚さんからは、「この土地いくらだと思う?」と問いかけがあり、敷地を無駄なく使うことの大切さ、設計者の希望なのか住まい手の希望なのかを自問すること、要望を取り入れながら構造や使い勝手にも気を配ることなど、厳しくも愛のあるアドバイスをいただきました。

プレゼンテーションの結果、「ワクワクが伝わる」アトリエウィの宇佐美 愛さんが、審査員から各2票ずつと参加者票1位を獲得し最優秀に選ばれました。宇佐美さんおめでとうございます!
終了後のオンライン懇親会では、宇佐美さんのプレゼンテーション資料に使われた画材についても質問が及び、オンラインではありましたが活発な交流が行われました。

 

2021年 第1回 投票結果

宇佐美 愛さん5票

石貫 希生さん

2票

松本 孝充さん

2票

中村 健一郎さん

2票

高森 喜洋さん

1票

小嶋 健二さん

1票

伊礼 智さん作例

 

飯塚 豊さん作例

スケッチアップを使った3Dパースも紹介。
第1回最優秀

宇佐美 愛さんの作品

設計教室 第1回おつかれさまでした。ご参加いただきありがとうございました!



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