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Vol. 79

設計教室2023 第1クール第1回 報告

2023.06.05 カテゴリ:,  タグ:

2023年 設計教室第1クール第1回をオンラインで開催。

5月24日、25日に、第1クール第1回を開催しました。

ゲスト講師は鈴木信弘さんです。事務局に伊礼さんと鈴木さんにお集まりいただいてのライブ配信となりました。 

鈴木信弘 氏 / 鈴木アトリエ一級建築士事務所:https://suzuki-atelier.com/
 

<1日目>

一日目は講師のお二人の講義です。まずは伊礼さんの講義。「設計上達のための8つのものさし」と題して、普段伊礼さんが設計する際に気をつけている8つのことをお話しいただきました。

ものさしその1.
「開口部の方向を押さえる」
敷地に立ち、視線の抜ける場所はどこかを探り、どの方向に開口部を設けるかを考える。また同時に駐車場の位置を真っ先に決める。そこからアプローチや動線などを考えていく。

ものさしその2.
「自分なりの型・建築の様式を見つける」
ひとつの型をつくり、バリエーションを増やしていく。自分を型にはめるのもの、成長への近道。

ものさしその3.
「町と家の間を考える」
町と家を緩やかに繋ぎ、制御する装置である‟ひんぷん”や、外部と内部を緩やかに繋げる‟アマハジ”の紹介。また道路側をコモンとすること、街へのお裾分けを忘れないで、とも加えられました。

ものさしその4.
「閉じてよし、開いてよし」
季節の良い時は外と内が繋がる気持ちよさを楽しみ、閉じている時は性能をしっかり発揮できる、「日本の気持ちを大事にした、日本らしいエコハウス」を!

ものさしその5.
「開口部と家具と照明はセットで考える」
開口部と家具と照明は大事。視線が抜けるところに開口部を設け、家具を備えて居場所を創り、そこに照明を必要なだけ用意する。明かりを散らして、明かりの重心を低くする。

ものさしその6.
「住宅であり、建築でもある。心躍る空間を意識せよ」
住みやすい住宅なだけでは、魅力ある建築とは言えない。説明なしで、見た人が心躍る建築を目指す。施主の要望を満たした上で、施主の要望が及ばない部分に、工夫や努力をしよう。

ものさしその7.
「設計上達のとりあえずの3つ」
・天井を低く(階高も)
・照明を天井につけない
・窓の数を減らせ

ものさしその8.
「目を養い、手を練り、耳を澄ませ、喉を潤し、よく笑い、即実践!!」
住宅デザイン学校のモットーです。

永田先生や奥村先生、清家先生など伊礼さんに影響を与えた先生方の言葉を紹介しながら、これらの‟ものさし8つ”について、様々な実例と共に具体的にお伝えいただきました。

後半の鈴木さんは、「住まいの何を設計しているかー鈴木の場合ー」と題して、これまでに経験されたことを通じて鈴木さんが普段大切にされていることをお話しいただきました。

60年を経た今も愛される軽井沢山荘や、100年以上を経てなお現役であったりミュージアムとして公開しているユトレヒトの酒豪住宅やサヴォワ邸、シュタイナーハウス等を例にとり、人の心を惹きつける空間や建築は生きながらえていけることに言及。
多大な影響を受けたという本「空間の詩学(ガストン・バシュラール)」や、キーワード「空間的居場所をつくる方法は『覆うと囲う』(阿部勤)」「住空間構成の二つの型『閉鎖と開放』(吉坂隆正)」を基に、原始的な家の解剖や、産業革命以降の住居のつくり方、終戦後の日本の住宅の空間変遷を紐解き、それらを意識しながらご自身の型に反映されていった様を、実例と共にわかりやすくお話くださりました。また、自身のオリジナリティをどのように持ち打ち出していくか、にも言及され、「民芸としての住宅、工芸としての住宅、手芸としての住宅、あなたはどれを目指しますか?」と問いかけられました。

その後のZOOM懇親会では、参加者から多くの質問が寄せられ、大いに盛り上がりました。

<2日目>

2日目は即日設計(初級編)です。神奈川県横浜市の住宅街の敷地で「四人家族がのびやかに暮らせる家」をテーマに3時間で設計し、伊礼さんと鈴木さんが審査員となり講評を行いました。

課題となった敷地は、道路面を0とすると南側が2m上がっており、その南側敷地に2階建ての家が建ち、強烈な日影が落ちてきます。北と東に接道しており、東道路の勾配がきつく、景観的にも良い景観が期待できない敷地。さらに、敷地内にも高低差があります。これらの条件をどのように整理し、考えていくのか。「住宅デザイン学校開校以来、最もえげつない敷地の課題」と伊礼さんがおっしゃる程の条件の中、皆様3時間という短時間でプランをまとめあげ、提出してくださいました。

今回は初級編であり、初めて設計教室に参加された方が多い中ではありましたが、前日の講演内容を大いに参考にされながら、各々の工夫や想いが見られるプランばかりでした。高低差が大きいことから、駐車場の位置、動線、条件が悪い中でも陽当たりや視線の抜けを諦めないこと、断面で考えていくこと等がポイントとなりました。

今回の最優秀賞は、審査員票4票と参加者票1票を獲得した、アスカ工務店の中村真さんに決定しました。中村さんおめでとうございます!ZOOM懇親会では、参加者の方々にそれぞれが投票した理由を伺い、それに対しての講師の解説やアドバイスも加えられ、大変有意義な会になりました。これから3回に渡り、同じメンバーで即日設計を重ねていきます。今後の皆様のプランニングが楽しみです。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!次回もどうぞよろしくお願いいたします。

2023年 第1クール第1回 投票結果

中村 真 さん5票

片岡 悦子さん

2票

青木 史晃さん

2票

佐藤 千里さん

2票

甲斐 靖之さん

2票

小笠原 華奈子さん

1票

伊礼 智さん作例

 
 

 

鈴木 信弘さん 作例

第1回最優秀

中村 真 さんの作品

 



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