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Vol. 90

設計教室2024 第1クール第3回 報告

2024.07.30 カテゴリ:,  タグ:

2024年 設計教室第1クール第3回をオンラインで開催。

7月3日、4日に、第1クール第3回を開催しました。
ゲスト講師は岩間昭憲さんです。事務局に伊礼さんと岩間さんにお集まりいただいてのライブ配信となりました。 

岩間昭憲 氏 / 岩間建築設計事務所:https://www.iwama-architects.com
 

<1日目>

一日目は講師のお二人の講義です。まずは伊礼さんによる「心地よさのものさし 近作を中心に」と題した講義。

1.開口部の方向を考える 2.型を見つける 3.町と家の間を考える 4.佇まいを整える
5.閉じてよし、開いてよし 6.動線を楽しく 7.素材の質感を大切に
8.開口部と家具・照明はセット 9.住宅であり、かつ、建築でもある
10.設計上達のとりあえずの3つ 11.豊かさは外部からやってくる 12.最後はプロポーション

伊礼さんが大切にされている設計メソッドを上記12のポイントにまとめ、近作のお写真や図面をもとに解説いただきました。また“こぼれ話”として、エアコン室外機のあり方や、東大准教授の前先生との全館空調システムの協働プロジェクトのお話なども披露いただきました。
多岐にわたるお話の中で「心地よさ」の価値観は一貫しており、また標準化しているところと挑戦しているところが見受けられ、最後は「自分らしい『ものさし』を磨き続けてほしい」と締め括られました。

後半の岩間昭憲さんからは、「原点回帰と機能美を手掛かりに」と題した講義です。

岩間さんは愛知県安城市を拠点に活躍される40代前半の建築家です。20代で独立され、同じ地域でそれぞれ独立した年齢の近い建築家仲間とチームを組み、オフィスをシェアし、意見交換をしたり、共に建築視察に出掛けたりして支え合ってきました。またそのうちのお一人、西口賢さんとは12年間共同設計でパートナーを組み、切磋琢磨してこられたといいます。その後シェアオフィスからお一人で事務所を構えられてからは、お庭を育てることで樹種の特性を掴んだり、日々身を置くことでお庭から得られる恩恵を体感したり、施工範囲の近くは縄文〜弥生時代の歴史的遺跡が多い地域なのですが、発掘調査に参加して当時の住居を身をもって学習したり…と、実体験を元にした深い学びへのエネルギーが印象的。ご自身の”武器”を考えたとき、小学校の頃の大工さんとのふれあいから、ものづくりや手仕事への関心が強いことに改めて注目された岩間さんは、ご自身で家具や照明器具を作ったり、大工仕事をしたり、今は事務所のセルフリノベーションの真っ最中なのだそう。これまでの作例を元に、岩間さんのこれまでのご経験や、そこから感じられたこと、今に至るまでの変遷をご紹介いただきましたが、研究熱心で、楽しみながら建築を探求される様は、参加者の中にも近しい状況の方や近いご年齢の方も多かったため、刺激を受けた方が多かったのではないかと思います。
最後は、「住まいての要望や予算、材料、敷地条件、気候や地域性などの条件に対して、理にかなった選択を最小限の手数でまとめた機能美を大切にしたい」とその想いを伝えてくださりました。

この日の懇親会は、2024年度講師陣が一堂に介す回となりました。講師陣が集まる機会は貴重で、有意義な時間となりました。

ものづくりがお得意な岩間さんより、手作りの銅スプーンをいただきました!帰り際に記念撮影。岩間さん、ありがとうございました!

<2日目>

2日目は即日設計(初級編)の第三回目です。比較的街中における南西角地。東西に長いコンパクトな敷地で、「庭と土間と趣味室がある住まい」を考えるという課題が、岩間さんより提示されました。
車の駐車位置や、お庭のつくり方と室内やアプローチとのつながり、書斎や陶芸工房や土間空間などのご希望を組み合わせながら、生活動線や視線の動きを整えていくことがポイントとなりました。土間空間、お庭というのはお施主様からも希望が出るキーワードだと思いますが、使い方をきちんと想像し、無駄なくまとめるための数々のアドバイスもなされ、良い鍛錬になったのではないでしょうか。
即日設計には、第二回ゲスト講師を務めてくださった松原正明さんと、岩間昭憲さんの所員さんも即日設計に特別参加してくださり、大いに盛り上がりました。

なお今回の最優秀賞は、審査員票4ポイントを獲得した、久米岬建築設計事務所の久米岬さんに決定しました。片岡さんおめでとうございます!

また、今回は第1クールの最後の回ということで全3回を通しての合計得点から総合受賞者の発表も行われました。接戦となりましたが、1回目:2ポイント/2回目:2ポイント/3回目4ポイント(最優秀賞)の合計8ポイントを獲得された久米岬建築設計事務所の久米岬さんと、1回目:2ポイント/2回目:4ポイント(最優秀賞)/3回目2ポイント の合計8ポイントを獲得された建築工房零の星裕亮さんが、同ポイントで総合最優秀賞となりました。おめでとうございます。

これにて設計教室第1クールは終了となります。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
初級編ということで初めて参加された方が多い回でしたが、講師の先生方のお話と、参加者の方のプレゼン・講評がそれぞれ刺激となり、設計力、提案力がみるみる昇華されていく様が大変印象的でした。皆様の今後のご活躍を祈念しております!(今回初級編に参加された方の中には、第2クールの中上級編にも続けて参加いただける方も何名かいらっしゃいますので楽しみです^^)
2024年度後半は、ゲスト講師の方々の実作見学や、設計教室第2クール、そのほか様々なイベントがございますので、お会いできるのを楽しみにしています。

2024年 第1クール第3回 投票結果

久米 岬 さん4pt

笹川 紗岐さん

3pt

片岡 悦子さん

2pt

星 裕亮さん

2pt

鈴木 茂明さん

1pt

吉田 颯太さん

1pt

 

   

 

伊礼 智さん作例

 
 

岩間 昭憲さん 図面

図面の掲載は、未発表作品のため控えさせていただきます。
第3回最優秀

久米 岬 さんの作品


    • 2024年 設計教室(初級編) 総合受賞者


      最優秀賞
          • ・久米 岬 さん(久米岬建築設計事務所)8P
          ・星 裕亮 さん(株式会社建築工房零)8P

      優秀賞
                  • ・片岡 悦子さん(kata.建築工房)6P
        •  
            • ・芳賀 希望さん(中山建設)6P
            • ・笹川 紗岐さん(株式会社エールハウス)5P
          •  
        佳作
                    • ・鈴木 茂明さん(株式会社ニコハウス設計室)3P
              • ・吉田 颯太さん(日本ハウジング株式会社)3P

          アドブレイン賞
              • ・荒井 竜二さん(ハウスデザイン株式会社)1P

         



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