設計教室2024 第1クール第1回 報告
2024.05.31 カテゴリ:設計セミナー, 設計教室 タグ:
2024年 設計教室第1クール第1回をオンラインで開催。
2024年設計教室 開校!5月8日、9日に、第1クール第1回を開催しました。
ゲスト講師は彦根明さんです。事務局に伊礼さんと彦根さんにお集まりいただいてのライブ配信となりました。
<1日目>
一日目は講師のお二人の講義です。まずは伊礼さんの講義。「小さな心地よい居場所に惹かれて」と題して、心惹かれた場所をスケッチし、実測、分析したものを書き留めておき、ご自身の設計に生かしていく様を、様々な事例・作品紹介と併せてお伝えいただきました。
京都の旅館「俵屋」や、韓国の南山韓屋マウル、吉村順三さんの打合せ室などの実例から、明暗差、高低差、空間の大小、視線の動き、退屈しない空間のつくり方、家具・廊下・収納・建築などの用途を決めず時に柔軟に考えることの大切さ、などを実作での具体的な活かし方を交えてお話しいただきました。
また、出来立てほやほやのご自宅「千寿の家」もご紹介いただきました。シンプルにまとまった、とおっしゃる千寿の家は、荻野さんによる作庭を終え、季節ごとに魅せる植物の営みをご覧になるのが楽しいと言います。完成するには3年ほどかかりそう、とおっしゃるご自宅を拝見する機会が楽しみです!
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後半の彦根明さんからは、発行されている書籍のタイトルに合わせた「最高に美しい住宅をつくる方法」と題した講義で、書籍に掲載されている実例を中心に、経緯やお施主様とのやりとり、そのご希望や条件からどのように納めたか、などの裏話も含めてご紹介いただきました。
ご要望、ご職業、ご予算、お人柄まで多種多様なお施主様の経験談をお話しいただきました。磯崎新事務所から独立された後、大型建築、住宅、そして今は温泉旅館まで手がけられている彦根さんですが、お施主様のご要望を非常に細やかに汲み取り、様々な手法を用いて、丁寧に建築に表現されている様が印象的。その中の一つのエピソードとして、
「階段は縦の移動をするためストレスのかかる部分でもある。だからこそ、好きな場所、自慢の場所、そのまま居場所になるような階段にできれば、住まいの価値は上がる」というものからも、住まいに対する彦根さんの愛を感じます。
普段からiPhoneで写真を撮られており、「LIFE and iPhone」という書籍も発行されている彦根さんは、
「建築の仕事は、日常の寄せ集め。時間や季節によって変わるものは、固定される建築の中で贅沢な、高度な装飾。普段から経験する空間を、プロの目で消化しながら生かしていくことが大事ですよ。」と教えてくださりました。
その後のZOOM懇親会には、参加者から様々な質疑が寄せられ、充実した1日目となりました。
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<2日目>
2日目は即日設計(初級編)です。「庭を楽しむ家」をテーマとして、住宅密集地でも庭を楽しむことのできる家を3時間で設計していただき、伊礼さんと彦根さんが審査員となり講評を行いました。
課題となった敷地は、北と東が4m道路に接道し、南側に3階建てが建ち並ぶコンパクトな敷地。視線が抜けた場所が少ない密集地で庭を楽しみながらの暮らしを望まれており、駐車場、2Fリビング、中庭などのご希望もあり、それらをどのように取捨選択し整えるかがポイントとなりました。
生徒さんは全国様々な地域から参加されており、コンパクトな敷地を初めて扱う方も多くいらっしゃいました。家具や車の寸法をシビアに描くこと、ソファーやキッチンに居る時の景色やスケール感を思い描くこと、希望を全て取り込もうとせず時には取捨選択をすることなど、様々なアドバイスがなされ、講評の数だけ学びがあったのではないでしょうか。またこの即日設計には、第三回目のゲスト講師を務める岩間昭憲さんも参加され、懇親会で作品をご披露いただきました。こちらも大変刺激的な案で、考え方を含めて感嘆の声が多々。大変有意義な会となりました。
なお今回の最優秀賞は、審査員票4ポイントと参加者票1ポイントを獲得した、中山建設の芳賀希望さんに決定しました。芳賀さんおめでとうございます!そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!次回は初級編第二回となります。どうぞよろしくお願いいたします。
2024年 第1クール第2回 投票結果
芳賀 希望さん | 5pt | 鈴木 茂明さん | 2pt |
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片岡 悦子さん | 2pt | 久米 岬さん | 2pt |
星 裕亮さん | 2pt |
伊礼 智さん作例
彦根 明 さん 図面
芳賀 希望 さんの作品
岩間 昭憲 さん(第三回目ゲスト講師)の作品