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Vol. 67

設計教室2022 第1クール第2回 報告

2022.05.31 カテゴリ:,  タグ:

2022年 設計教室第1クール第2回をオンラインで開催。

5月18日、19日に、第1クール第2回を開催しました。

ゲスト講師は熊澤安子さんです。第1回同様、事務局の事務所に伊礼さんと熊澤さんにお集まりいただいてのライブ配信となりました。 

熊澤安子 氏/熊澤安子建築設計室:https://www.yasukokumazawa.com/about/
 

<1日目>

一日目は講師のお二人の講義です。まずは伊礼さんの講義「心地よさのものさし」から。「皆さんそれぞれの設計のものさしを明快にしていくことが重要。そのヒントになれば」という言葉で始まり、どのようなことを心がけて設計されているかをお話しくださいました。

1.開口部の方向を押さえる
 ・同時に駐車の位置を押さえる
2.自分なりの型・建築の形式を見つける
 ・4間角、3間×5間、L型、4畳半グリット…など
3.町と家の間を考える
 ・方位に関係なく道路側がコモンと意識する
4.閉じてよし、開いてよし
 ・閉じたときに性能が発揮できて開くと外部と一体になる設計
5.開口部と家具と照明はセットで考える
 ・開口部は視線が抜けるところへ
 ・家具で居場所を創る
 ・手元を照らす照明
6.住宅であり、建築でもある心踊る空間を意識せよ
 ・光と影
 ・素材
 ・プロポーション(構図)
7.設計上達のとりあえずの3つ
 ・天井を低く(階高も)
 ・照明を天井につけない
 ・窓の数を減らせ
8.目を養い、手を練り、耳を澄ませ、のどを潤しよく笑い、即実践!

以上のポイントを伊礼さんの実例写真を交えてお話くださいました。講義の最後は「自分らしい『ものさし』を磨き続けよ。」という言葉で締めくくられました。自分のパターンを見つけ、それを磨いて進化し続けることで、提案にも自信がついてくる。受講者のみなさんにとって、とても具体的な気づきの得られる講義だったかと思います。

後半の熊澤さんの講義は「ときめき基準の住宅設計手法」。よい設計をするために、好みや要望によって変えることのできない「軸」をもつことが大切であり、そのためには自分の感覚を通して考え、どういうものがいい建築・住宅なのかを発見していくことが重要であるというお話で始まりました。

高校時代までを過ごされた奈良の歴史的建築の数々や、ご自身の師匠であるDON工房の大野正博さんの建築、そしてご自身が影響を受けたという永田昌民さんと堀部安嗣さんの建築を分析し、熊澤さんの設計にどのように影響しているかをお話しくださいました。

・奈良の歴史的建築
 時代や流行りに関係のない、最も確かな存在として自分の中にある。長い年月風雪に耐え、存在し続けることができる形・素材・風情
・DON工房 大野 正博さん
 奈良の建築に通じるものを感じる、低くて長い軒とシンプルな架構の美しさ
 3尺グリッドは人間のスケール感覚に合っている
・永田昌民さん
 人の感じ方・身体感覚・居心地をもとに設計されている
 壁の配置:壁が居心地をつくる
 居場所の基準寸法:居場所には適切な寸法がある
 明確な空間単位:配置計画は空間単位で行う
・堀部安嗣さん
 サーブドスペースとサーバンドスペース:機能を切り離すことで自由になる

そしてご自身の設計について、「宮前の家」、「宮前の家Ⅱ」、「西荻窪の家」、「京都分室」の実例写真をあげながらお話しくださいました。

庭を置くことから配置計画を始めるという熊澤さん。敷地の環境、周囲の関わりを正しくとらえることが一番大切で、敷地に身を置いたときの印象に設計の手がかりがあることも非常に多いため、空地をどこに取るか検討し、土地の持つ気持ちよさが家の中全体に行き渡るようプランしているとお話しくださいました。
今回の講義でお話しいただいた実例のうちのいくつかを9月14日の建築視察ツアーにて見学させていただける予定です!詳しくは続報をお待ちください。

<2日目>

2日目は即日設計(初級編)です。東京都小平市を敷地とし、「それぞれの暮らしを大切にしたい夫婦が共に暮らす住宅」をテーマに3時間で設計し、伊礼さんと熊沢さんが審査員となり講評を行いました。

受講者の皆さんからは、南隣家が迫った敷地でどのように庭をつくるか、また、隣接する実家との距離感、要望のひとつである写真スタジオの扱い方など、様々な要素をまとめあげることが難しかったという声が多く聞かれました。

講評の時間には、特に庭のとりかたについて沢山のアドバイスをいただきました。矩形の建築物を置くことにこだわらず、思い切ってずらして配置する。講義の時間でお話しいただいた考え方を、実感を持って改めて学ぶ機会となりました。

プレゼンテーションの結果、審査員票合計3票、受講者票1票を獲得したハウスデザイン一級建築士事務所の武田浩和さんが今回の最優秀賞に決定しました。武田さんおめでとうございます!

2022年 第1クール第2回 投票結果

武田 浩和さん4票

海老原 隆士さん

3.5票

中村 真さん

2票

原田 亮佑さん

2票

伴 栄樹さん

2票

水林 黎さん

1票

伊礼 智さん作例

 
 

 

熊澤 安子さん図面

未発表作品のため熊澤さんの図面掲載は控えさせていただきます。
第2回最優秀

武田 浩和さんの作品

第3回は6月開催です!



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